看護師の経験や資格を活かせる道には「移植コーディネーター」「ケアマネージャー」など多々あります。ここではその他の例として、「フライトナース」「治験コーディネーター」「地域包括支援センター」について紹介します。

・フライトナース

フライトナースは、医師と共にドクターヘリに乗り込み現場に向かう救急医療のエキスパートです。そのため、強い使命感だけではなく、高い技術力や行動力、限られた条件の中で最善を目指す応用力が必要です。

フライトナースになるためにはまず、ドクターヘリを持っている病院に入ることが先決です。今のところ、フライトナースには明確な資格はなく、病院内で十分な救急看護の経験がある看護師の中から選ばれる、といった流れが大半です。もちろん、救急救命に関する一次救命処置(BLS)、二次救命処置(ACLS)といった資格は必要ですが、経験上持っていて当然のものだと思われます。救急救命の中でもいち早く現場へ駆けつけ、患者さんを助けるフライトナースは大変な仕事ですが、やりがいも多く、希望している看護師も意外と多い仕事です。

・治験コーディネーター

治験コーディネーター(CRC/Clinical Research Coordinator)とは、医薬品開発においての臨床試験に携わる仕事です。新しい医薬品を開発する際には、基礎的な研究を経て実際に人に対して有効かどうかを検査する試験段階に入ります。これを一般に「治験」と言いますが、その際には試験に協力する被験者の方が不可欠です。治験コーディネーターはこの際に、医療機関側と被験者間の調整をしたり、一連の業務の流れやスケジュール管理をします。また、被験者が安心して臨床試験に参加できるようにサポートしたり、治験中の様子に気を配るなどしなければいけません。

現在、治験コーディネーターに必要な資格は特にありませんが、様々な医薬品や病気、医療に関する知識が必要なため、看護師や薬剤師を経験した人が転身することがよくあります。新薬を開発する仕事ではありますが、単に事務的な内容ではなく、医療機関や被験者対応といった対人的な部分も多いので、一般的な看護とはまた違った視点で医療に携わりたい人には向いている仕事かもしれません。

・地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、その地域に住む高齢者やその家族を支えるための公的機関です。主な業務は高齢者介護に関する内容で、介護保険の利用や介護予防サービスに関する相談を受け付けます。さらに、高齢者の健康維持や財産管理、生活トラブルに関するものまで幅広く対応する他、高齢者を抱えた家族に対してのサポートも行っています。

地域包括支援センターには、社会福祉士、ケアマネージャー、そして保健師または看護師が常駐しそれぞれの専門性を活かして活動にあたります。地域包括支援センターでの看護師の仕事は単に事務所内だけではなく、利用者の家庭や関係機関に出向くこともあって意外とアクティブです。ここで仕事をするためにはやはり相応の経験が必要で、高齢者介護や介護保険サービスについての知識だけでなく、地域の医療機関や行政とネットワークを結ぶためのコミュニケーション能力も求められます。

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